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エッセイ

驚いた!2013年11月29日長崎新聞の「=県議会=一般質問の焦点」において、中山功県会議員の質問「...県、県教委、県警...の不祥時...再発防止に向けた意識改革...」に関する質問に対して、中村法道長崎県知事の新聞紙面における答弁内容を再掲させてもらうと
「...さまざまな問題に直面し、考えあぐね、どうすればいいのか悩んできた。どういった取り組みが可能か、研究して...」と。
何か情に訴えている答弁だ。浪曲師みたいである。

小生は、平成23年1月下旬、長崎県精神科病院協会経由で、長崎県障害福祉課長より『「障害者差別にあたると思われる事例募集」の実施について(再依頼)』との依頼文を受けた時、当時問題となっていた教職員の不祥事について、当時の県教育長の発言に対して、次のようにメンタルヘルスに関わる専門職の立場から、ごく常識的な意見を述べ、県障害福祉課の依頼に以下のように応えている。
『昨年からの教職員の不祥事に対して、長崎県教育長はその対策として専門家会議を行うとし、そのメンバーに医師は心療内科医を起用するとのことである。だが、県下には心療内科医はいない。それに一連の不祥事に対して何故心療内科医なのか、私には理解できない。多分、不祥事とメンタルヘルスの関係について意見を求めたいのだろう。とくに一連の不祥事はわいせつ行為、窃盗、飲酒運転などと犯罪であり、司法精神医学の知見、さらに不祥事に常習性があったら依存症問題を視野に入れた検証も必要だ。加えて、こんな不祥事の背景にある問題として教職員の精神科疾患の増加、それに子ども達の心の病についての対処法も検討しなければならない。そんな全ての課題に関わるのは精神科医である。ここで私は県教育長の見識を疑う。それは精神科医軽視、精神科医療への無理解、それ即ち精神科医に掛かっている精神障害者、精神科疾患の方に対する偏見、差別に他ならない。』と。
さらに、それを長崎新聞の声の欄にも掲載した。それは、中山県会議員の質問への精神科医療に携わる者の一つの回答である。
公職にある者も人間である。それも多くの方が長崎県の安全、安心、快適な県民生活のためご苦労されている。そんな方の不祥事に対して、知事一人が考えあぐねて、どうすればいいか悩んでも、如何ともしがたい。小生は精神科医療を専門としている。このような問題に対する意識改革を研究(知事の発言)するには、心理学、法学、社会学、文化人類学、経済学等々の分野で現場がよく分かった専門家で構成した対策検討会も必要だろう。さらには、広く県民の意見を吸い上げる仕組みがあってもいい。すでに平成23年1月下旬、長崎県精神科病院協会経由で、長崎県障害福祉課長名で問いかけに、小生が述べた意見も参考にしていただきたかった。そんな根気強い小さな積み重ねの作業が意識改革につながるのではないだろうか。その程度のことは、首長として答弁して欲しかった。繰り返したくないが、「考えあぐねて、どうすればいいか悩んでも...」と、県会議事堂は浪速節を語る場ではない。

そう中村法道知事は、浪曲、歌舞伎と日本の古典文芸がお好きなようである。例の勧進帳で有名な安宅の関の「見て見ぬ振り」はどうなったのか。匿名のメール一通で何も考えあぐねず、どうすればいいか悩みもせずに貴方の部下が所轄の保健所にそのメールをおろし、医療法25条第1項による特別検査(抜き打ち検査)を行使した件、以後、抜き打ち検査を受けた側の再三にわたる説明、釈明の要請にも、何の説明もなく、また、貴方が任命したであろう所轄の部署の幹部職員の更迭等の話も聞かない。小生、どうでもいい一県民であるが、このようなことも意識改革の一貫に含めていただくことをお願いしたい。

そうそう、医療法25条第1項による定期の立ち入り検査は、毎年各医療機関に対して行政当局が行われている。今年も当院は12月18日に行う旨の通知を所轄の保健所より受けた。あれだけ、匿名のメール一通のみでもこの法を行使される当局である、定期の立ち入り検査では適正にして適切な検査を行っておられるはずだ。
その通知書の検査内容の冒頭には「医療従事者数」とある。とくに、患者の最も身近なところで業務を行い健康と安全を見守り、医療サービスを提供する看護者数に関しては、適正に配置されているか何時も厳しくチェックされている。それは、診療報酬の施設基準にも関連することだし...。

ところが、本当にところがだ。何故、こんなことが私の耳に入るのだろうか。
数ヶ月前、長崎地方裁判所において、とある医療機関の労働審判中
、申立人(看護師)の証言の中で、彼は、申し立ての相手方の医療機関に常勤で従事しながらも、別の医療機関の夜間勤務を行っていた、と証言している。では、彼が夜間勤務を行っていた医療機関の看護配置、看護者数は適正であったのだろうか。裁判所の指示で、彼の夜勤勤務が少なくとも昨年から行われていたことが確認されているらしい。そして、長崎地方裁判所にあるその審判の議事録には申立人の証言が記録されているはずだ。だとすると、彼が夜勤勤務をした医療機関の看護者数として登録されていなければならないが、昨年そのような事例に関する問題が発生したとは、聞いていない(当然、そのような問題があれば、各医療機関に何らかの指導等があるはずだ...)。
となると、逆に昨年の行政当局の立ち入り検査は適正、適切だったか疑わしいことにならないか。
そんなある意味、適当な定期検査が行われているのなら、ますます当院に対する匿名のメール一通での医療法25条第1項による抜き打ち検査について、しっかり説明責任を果たしていただきたい。

中村法道知事は、先の中山功県会議員への答弁で、「...真剣に業務に取り組んでいる他の職員に多大な迷惑をかける。...」とおっしゃっている。コンプライアンスが大好きな知事、貴方が、一県民の小生の病院に手順を踏まずして行った立ち入り検査に対して説明責任を果たさず、加えて、県内の行政当局の定期医療立ち入り検査に対して疑義が持たれる事例が発性しているようだ。
こうなったら、...他の職員に多大な迷惑をかけているのは、知事自身、福祉保健担当副知事、福祉保健部長、医療政策課長、長崎市長、長崎市福祉保健部長、長崎市保健所長等々もその対象になりはしないか。
一小県民、市民として、長崎県、長崎市の行政当局の徹底的な意識改革を願ってやまない。