知事への手紙

24

(水)

08月

エッセイ

長崎県知事
中村 法道 殿
 
前略 突然のお手紙で失礼いたします。私、長崎市内で200床規模の精神科病院を開業する者です。
実は、平成23年5月16日、長崎市保健所・早田篤所長名で、長崎県の医療相談窓口に貴病院の医療安全に関しての投書が寄せられた、と。よって翌5月17日、立入調査を行う旨の通知がFAXでありました。17日当日、その投書が匿名であり、内容を伝えると匿名の個人が特定出来るとのことで教えていただけませんでした。
立入調査の結果、翌18日、当院の医療安全等に何ら問題がないとの回答を長崎市保健所よりいただきました。
ただ、このような立入調査に関しては、厚生労働省医政局長より、技術的な助言が行われております。立ち入られた医療監視員の方は、その内容についても全く熟知しておらず、あきれるばかりでした。

その後、投書内容が虚偽であることから、今度は私どもの「知る権利」として、投書内容の公開を長崎市に求めました。その経緯については、私のブログ「情報・法・制度」「こんな市長に平和宣言文を読んでほしくない」に触れております。ご参読下さい。

そして、私どもは、様々な関係者、関係機関に尋ねました。
そこで得た情報としては、匿名による問い合わせには基本的に対応しない。ただ、その信憑性が高く、医療機関の場合、患者の生命・人権が侵されている危険がある、と判断されたときには、対応するそうです。ですが、1通の短文のメールで行動を起こすことは、全く不自然であるとの意見ばかりでした。そのためにも、投書内容等の一般からの意見については、規程のルールと書類にて対応を決めるのが本来だそうです。

つまり、長崎県福祉保健部監査指導課の窓口に投書された書面は、その課で協議・検討され、担当課長が決済、医療政策課の出田拓三におろされ、そこでも同様の手続きを踏んで、当院を管轄する長崎市保健所、ないしは長崎市地域保健課におろされ、そこでも同様のことがなされていなければならないはずです。そこで、当方弁護士より長崎県福祉保健部における手続き等に関する書面公開を長崎市に求めました。

ところが、回答は「公開に係る行政文書を保有していない」でした。
よって今度は、私が8月17日に長崎県福祉保健部藤田純一次長に電話にて、この旨を伝え、当院ホームページ掲載の私のブログ「情報・法・制度」「こんな市長に平和宣言文を読んでほしくない」を読んでいただいた後、当時の県当局の対応・手続きについて、再度電話して尋ねてみました。その返答は、「医療政策課長が決済して市におろした」匿名投書の取り扱いに関しても、「信憑性があったから...」とのことでした。

如何でしょうか。当院は低調な長崎県の精神科医療の中では、決して恥ずかしい精神医療は行っておりません。これまでも、諸々の監査で大きな問題点を指摘されたこともありません。
また、長崎県福祉保健部が毎年出版する「長崎県精神保健の現状:平成22年度」でもお分かりのように、県下の民間精神科病院の中で、病床の割合からして、年間の入退院数、入院患者の3か月未満が占める比率の高さ、外来延べ患者数は何れも、現在、厚生労働省がすすめる方針に最も沿ったものです。

今、私も、また当院に勤務する職員も、今回の件で、疲弊し、消耗、傷付いております。
さらに、抜き打ち調査が入ったとの風評被害も出ております。

知事は「人の痛み、思いを敏感に捉える...県政」と言っておられるようですが...。

この件に関しては、内部で十分に調査していただきたい。そして、まずは、当然のことですが、投書の全面公開、さらに、この投書で当院に立入調査を行った経緯を長崎市と協同で明らかにしていただき、その結果をもって当院に対する誠意ある対応を示していただきたく存じます。                         
草々
平成23年8月23日
医療法人志仁会西脇病院
理事長 西脇 健三郎


b21-1.jpg