箸休め、「冠句」について
08
(火)
11月
【 エッセイ 】
もう、知事への手紙、行政批判はいい加減にしなさい、とのご意見もあるだろう。私は"いい湯加減"、"いい味加減"は大好きだが...、いい加減な不正は許せない。
だが、「その行政批判はいい加減にしなさい」とのご意見に従い、ここで一息、箸休めをすることにしよう。
京都大学大学院医学研究科、山根寛教授より、彼の著書「冠難辛句」をいただいた。
私は60半ばになって、初めて「冠句」の存在を知った。なかなか面白い。ご存知の方もいらっしゃると思うが、「冠難辛句」の冒頭-サラリと(序に代えて)-の前段を引用させていただき「冠句」について説明したい。
「冠句は、松尾芭蕉(1644~1694)とほぼ同時代の元禄年間に、京の都の住人堀内雲鼓(京都市富小路五条下がる上徳寺に句碑があります)によって始められたといいます。
俳句や川柳などの五・七・五の上の五文字を出題し、付句十二文字を募るもので、江戸時代に大流行した最短詩文芸です。明治の初め頃には一時衰退したようですが、昭和の初期に、太田久左太郎によって、雑俳(ざっはい)と扱われていたものから今の正風冠句が誕生したといいます。(略)
冠句は、冠題(最初の五文字)が決まっていて、中七・下五の付句十二文字をつけて完成させますが、冠題と付句の間に「間」をひらけることが特徴です。俳句にみられる季語などのようにいろいろな約束事が無く、話し言葉を使って自由に思いを表現できる生活から生まれた短詩文芸です。」
う~ん、江戸時代、庶民の遊び心の極みではなかろうか。
私も作ってみた。以下が私の愚作である。冠題は「恋わずらい」から「精神科医」までは『冠難辛句』で出題されている冠題を拝借した。「妄想は」、「学級崩壊」、「人口爆発」は私自らの出題だ。かなり字余り、字足らずが多々あるが...初心者である、お許しいただきたい。
恋わずらい 冥途の土産にもう一度
こころの病 問題だが、才能でもあり悩ましい
こころの病 心療内科かハートクリニックに罹る人?
新年を あと何回かと思う歳
初恋? 一度しました、後は失恋数しれず
患者さま 医者・芸者・役者も"さま"にならない
認知症 ほどほどのボケは死も忘れ
鉄格子 格子だけなら粋(いき)なのに
精神科医 評論家で飯を喰い(長崎だけかも...)
妄想は 文明、文化の源泉か?
学級崩壊 なぜ喜ばない、オンリー・ワンが増えたのに
人口爆発 医学の進歩のおかげだよ(+産業革命)
参考図書・推薦図書
「冠難辛句」山根 寛著:青海社
‐一片の言の葉(刃)でサラリとこころの煙突掃除-