「独裁」、それとも「大衆迎合」
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【 エッセイ 】
2011年11月27日、大阪府知事・大阪市長選挙は、橋下徹前府知事が率いる「維新の会」が府・市とも勝利し、橋下徹氏は大阪市長に当選した。選挙期間中、彼は「独裁」を訴えてきた。「独裁」、危険な、ダーティーなイメージである。そして、勝利後のインタビューで、「民主主義のこの日本で独裁はあり得ません。いわゆるトップ・リーダーの決断ですよ」といった主旨のことを語っていた。なるほど、上手い選挙戦略である。
これまで、住民本位のマニフェストなるものが選挙戦では飛び交い、結果、東日本大震災ではリーダーの決断力が問われ、その決断の遅れから被災地への初動、その後の支援活動などに遅れが生じた。その現実が伝えられている中で、リーダーシップのあるべき姿を危険なフレーズ「独裁」で訴えかけての勝利、お見事!
ところで、私の暮らす長崎県、長崎市であるが、規模も違えば、抱えている問題も異なる。
そこのリーダーの長崎県知事は「人の痛み、思いを敏感に捉える...県政」と訴えかけて知事になった。また、長崎市長は「ちゃんぽんミーティング」なるものを提唱、市民との触れ合い、対話重視を訴え、これまた市長となった。
「人の痛み、思いを敏感に捉える...県政」、「ちゃんぽんミーティング」と、何れも心地よいフレーズである。これを大衆迎合と言っていいのかな!
ただ、彼らはどちらも長崎県、長崎市の生え抜きの職員である。
これまで私がここに書いてきた、5月の匿名メールによる当院への抜き打ち監査だが、メールが送られてきたのが、県の障害福祉部の指導監査課である。医療機関ではなく、福祉法人と関わりを持つ部署だ。こちらが求めたメールの部分公開においても、その課の誰が受けたのかは明らかになっていない。また、そのメールの信憑性などを協議・検討を行った記録もない、との回答ももらっている。だからもちろん、誰がそれを管轄である長崎市に下すよう指示したのかも不明である。だが、そのような曖昧な匿名のメールのみで、知事の手紙の表現によると、「独自の判断」により医療法23条による監査が直ちに行われている。それを最終的に許可したのはトップ・リーダーの長崎市長に他ならない。
「人の痛み、思いを敏感に捉える...県政」、「ちゃんぽんミーティング」と何れも心地よいフレーズで語りかけているが、市民の目線ではない。やはりお役人さん上がりである。誰が決断したのか責任の所在がはっきりしないではないか。
となると、橋下徹氏の危険なフレーズ「独裁」は、決断は俺が下す、だから、最終責任もこの橋下だ。それなら、私のここ数か月の体験からして、彼の「独裁」宣言を支持したくなる。