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エッセイ

2011年5月16日、長崎市保健所より「医療法25条第1項の規定」により翌17日医療安全に関する立入調査を行う旨のFAXが流れてきた。いわゆる抜き打ち監査である。当院では大慌てでその準備に追われた。
翌5月17日3名の保健所職員が来院、立入調査を行った。
そして、当方の依頼もあって、何か医療安全に関して問題があれば直ちに改善をと、翌日にも、その立入調査の結果についての報告書を求めた。
5月18日その報告書は保健所職員直々に届けられた。内容は、1、医療安全に関すること、ア、医療安全指針は適切に整備されていた。イ、医療安全管理委員会は定期的に開催されていた。ウ、事故報告等安全確保改善策は検討され改善されていた。そして、2、として院内感染に関することが、やはりア、からエ、まで列記されていたが、院内感染に関する問題点の指摘も全くなかった。

この突然の立入監査の経緯(いきさつ)については、この後一冊の本ができるほどブログに書いてきた。これまでのそのブログをお読みいただければお分かりいただけはずだ。それは県の福祉保健部に送信されてきた一通のメールに端を発している。それもそのメール内容の信憑性を協議した記録もない、決済もないのに法が執行されたのである。私はその件に関しては、ブログに掲載した上で、行政機関、それも長崎県知事、長崎市長に再三手紙として送り、この立入調査の根拠を問い続けた。2011年9月9日に一度だけ、中村 法道長崎県知事名で回答があった。その内容は稚拙なものであったが、2011年5月17日の法の行使は長崎市の独自の判断で行われた、とあった。また、その後もことの真実について問いかけを続けたが、個人情報保護条例に基づきメールの送り主(あるいは団体)の匿名性は守られ、それどころか、5月17日の監査に至った経緯を"知る権利"も「無視」され続けた。もちろん私は実名で問いかけてきた。またそれ以前に、それも県行政の要請に応じて実名で幾つかの投稿を行ってきたが、それを受理したか否かの返事すらいただいていない。

ここで、長崎の行政の姿勢は「独自の判断でことを行う」、「実名無視、匿名尊重」と私は理解した。

2012年1月6日長崎市保健所より2012年1月25日に医療法25条第1項に基づき立入調査を行う旨の通知が手紙であった。これは例年の定期監査の通知だ。ただ、例年は前年12月に行われるが、今年度は何故か年を越した。

当院としては、2011年5月以後の体験、行政の姿勢を踏まえて準備を行った。

当日は当局が「独自の判断」で調査が実施できるように一室に必要書類、電子カルテとそのパスワード。それから病棟巡視に必要な施錠用の鍵を準備、保健所職員の独自性を邪魔しないように私、そして当院職員は日頃の職務に専念することにした。加えて、保健所職員に対しては実名ではなく匿名で...。

この2012年1月25日の定例監査の結果報告は、2011年5月17日の抜き打ち監査より
時間を要した。やっと、2012年2月10日にその結果が文書で郵送されてきた。

その内容が傑作である「今回貴院において管理者及び担当職員の積極的な協力が得られず、医療安全を十分に確認することができませんでした」

そうだろうか?心外である。長崎の行政の姿勢は「独自の判断」。「匿名の尊重」のはずだ。それにしっかりと協力したではないか。
そして、"医療安全を十分に確認できなかった"のなら、それこそ抜き打ち監査を行えばいい。
ただ、その前に、2011年(平成23年)5月26日に厚生労働省医務局長より各都道府県、各政令市等にだされた「平成23年度の医療法25条1項の規定に基づく立入調査の実施について」を熟読していただきたい。そうでないと、「監査職員が医療法に規定してない『閉鎖病棟、開放病棟を見せろ』」とか、「有識者等との協議もなく、抜き打ち監査...」と、そんなことがまたあると、当方はますます分らなくなるのだ。もういい加減にしてほしい。