長崎県知事と長崎市長の品格
22
(火)
05月
【 エッセイ 】
長崎県の厚生労働省の出先機関である労働局へ「私に対する長崎県知事、長崎市長、各保険行政当局のパワーハラスメント(無視)」に関する書面、資料(A4:55枚)を2012年5月9日に送り、長崎県、長崎市への対応を依頼した。
そして、2012年5月10日長崎労働局総務部企画室長名で以下のような回答をいただいた。概略のみ紹介する。
【冒頭から結論として、私の問いかけは当労働局の「所管外」で対応できないと伝えている。それは2012年3月15日になされた「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」では『長崎県知事等と貴院及び貴殿との関係は、同職場内の上司と部下には該当しない...』。また「医療労働者である私」に対して、『医療法人の代表者である貴殿は、労働基準法上、...「労働者」に該当しません』、と...】
確かに医療法人は、原則医師が法人の代表者である。しかし一方、医師の指示のもとでの医療行為は行われなければならない。医師は、そういった意味では激務に身を置く医療労働者である。しかし、法が定めているのならやむを得ない。
そうなんだ。1985年に私は、長崎県保健部当局にもこの「所管外」ではと、問いかけを行った。それは長崎署の職員が集団で当院に乗り込み、当院入院中の患者を他の精神科病院に入院させようとした事件である。法の定めでは、医師が患者を診療した上で、入院の可否が決定されるはずだ。それを警察職員の判断で行われようとしたのだ。私は、この件を当時の長崎県保健部当局に問い合わせたところ、保健部長名で警察の行為は正当との回答を受けた。以後、それは法的におかしいと、問い続けてきた。そして、22年経過した2007年になって、やっとその否(警察職員の行為は「医師法」に反する。つまり警察の所管外である)を認めた謝罪文を長崎県保健行政当局の障害福祉課長名で受け取った。
今回もそうだ。一通の「匿名のメール」のみで、長崎県、長崎市保健行政当局が、何ら協議もせず、何ら決済も行わず、「医療法25条の1項」を行使することが、保健行政当局の所管内で行える正規の業務であるかを問題にしているのだ。
以前も紹介した2011年10月16日の「春日野部屋で親方が弟子を暴行した」との匿名の情報に対しても、まず、警視庁は春日野親方から任意で話を聴いている。つまり、法をまだ行使していない。匿名の情報のみで、法を行使すべき所管の業務にするか否かの確認作業を行っている。結果、春日野親方はその行為を認めたが、被害者の弟子らが被害届を出さなかった。それで、警視庁は「所管外」とし、日本大相撲協会の内部で処分が行われている。
同様に「匿名のメール」一通のみで、長崎の保健行政当局が、「医療法25条の1項」を行使したこと、それは本来保健行政当局で協議、ないしは他にも調査など行い、その「匿名のメール」に信憑性がなければ、それこそ「所管外」として処理すべきではないか。何故そのような当たり前の業務を行わなかったかと幾度となく説明を求めたが、行政当局は「無視」し続けている。
これが2012年3月15日になされた「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」に該当しない、よって労働局の「所管外」であると回答してきた。
私は個人的にこの「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」は、まだ議論の余地ありと思っているが、労働局としてはこの報告書を行政の立場で吟味した上での回答であることは理解できる。
だが、マザーテレサは「無視は最大の暴力」と言っている。
話は変わるが、昨年から古い病棟、旧管理棟を解体しつつ、二期に分けて、新たな病棟を建築中である。2012年4月(先月)に一期目の工事が終了、完成部分を病棟として使用を始めている。しかし完成品ではない。使い勝手は今一つだ。私をはじめ職員にとっても二期工事終了までは、気苦労が絶えないであろう。とくに不審者の侵入には気を使う。
私が院長就任後、不審者、不法侵入は3件あった。1件目は先に述べた1985年の警察職員の患者拉致未遂だ。そして、今回の釈明不十分の長崎市保健所職員による不当監査である。それと、これも長崎市の建築指導課の職員が今回の工事にあたって「解体する建物にアスベストが存在する」との情報(これも匿名)に基づいて、施主に無断で解体現場に立ち入っている。
長崎の行政機能はどうなっているのだろうか。
また8月、あの原爆の日がやって来る。誰もがあの悲劇は二度と繰り返したくない、といった願いで迎える。
だが、あのような悲劇も、他者への「無視」、他者の生活の場、生き方に土足で踏み込む行為で生じる諍い(いさかい)が原点にある。長崎では、先に述べたように公人のそういった行為が目に余る。
私も労働局から「使用者」との指摘を受けた。なら、公人でこのような「無視」、「住民生活を侵害する」労働者の使用者(県・市職員の任命権者)は、長崎県知事、長崎市長ではないか。
そんな県知事があの原爆の日に挨拶をし、ましては長崎市長が「平和宣言文」を読むのは辞退して欲しいものだ。そうしないとなれば長崎県知事、長崎市長の品格を疑いたくなる。私は被爆2世なんですよね...。