行政から病院への「丸投げ」が全国都道府県で、二番目に多いのは長崎県
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【 エッセイ 】
2014年11月16日:長崎新聞
・声 みんなのひろばより
【「丸投げ」発言、そのまま県当局にお返しします。精神科医 西脇健三郎(67)
佐世保の高1女子同級生殺害事件に絡み、児童相談所の男性幹部が「病院からの丸投げは受ける必要はない」と発言していた問題で、その病院とはそれまでの経緯からみて民間の精神科病院だ。
戦後、精神衛生法(現・精神保健福祉法)の成立以来、国(行政)は精神障害者の処遇を民間の精神科病院に丸投げし、今日に至っている。今、国はそれを是正しようと精神科病院の病床削減や長期入院の精神障害者を地域へ移す取り組みを始めているところだ。
そんな歴史を踏まえると、公人である児童相談所職員の「丸投げ」発言はいかがなものかと思っていた。ところが11月7日の知事の定例会見において、知事は児童相談所の対応のまずさは認めたものの、「『丸投げを受けるな』との言葉はあり得ないわけではない」と、丸投げ発言を一定擁護する旨のことを言ったと、翌日の本紙で知った。
定例会見におけるこの発言に驚くばかりだ。それは病院以外の社会資源の不備から、行政によって丸投げされ民間の精神科病院で長期入院を余儀なくされてきた精神障害者と彼らを本当に限られた人員で支えてきた病院従事者に対する冒瀆(ぼうとく)であると言わざるを得ない。(長崎市)】
以下、「精神保健福祉の現状 (平成24年度版) 編集発行 長崎県福祉保健部障害福祉課」より